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東海道中膝栗毛発端(とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり)

原文

東海道中膝栗毛発端 原文28

▼開

せう。ハヽヽヽヽ」 北八「かわへそうに、洒落(しやれ)所じやァねへ、サア/\はやく片付(かたづけ)てくんなせへ。」【ト、なまゑい大ぜいよつてたかつて、むだやらしやれやら出ほうだいな事しやべりながら、ほとけをおけの中へおさめて、香花を手向ける所へ、おつぼのてゝおや、なみだをふき/\、たづねきたりて】 「アイゆるさつしやりまし。わしやハアおつぼの親(をや)でござらァ。」 北八「是はよふこそ、先(まづ)こちらへ。」 親「ヤレ/\憂(うゐ)ことをしおりました。わしやハア、田舎(いなか)もんでござるから、義者(ぎしや)ばつて、むけちなくぼい出しましたが、こんなになるべいたァ、おもひおりませなんだ。ドレ/\むすめはどこにゐおります。ちよつくり顔(つら)サア、見せてくれさつしやりまし。」 

弥次「ヱヽおめへ、もふちつとはやく来なさればいゝに。もふ桶の中へさらけこんでしまつたものを。のふ、芋(いも)七。」 いも七「イヤしかし、とつさんの身では、見たいは道理(どふり)/\、どをりに狐(きつね)の子じやものをと、けつかる。ハヽヽヽさらばお開帳(かいちう)いたそふか。」【ト、棺桶のなはをとき、ふたをあけて見すれば、をやぢめがねをかけ、つく/\と見て】 親「コリヤハアちがつたァもし。」 弥次「ナニちがつたァ、何がちがひやした。」 親「佛(ほとけ)がちがひ申た。此佛にやァ首(くび)がござらない。そして、わしの娘(むすめ)は女でござるに、コリヤハア男(をとこ)の死人(しにん)と見へ申て、胸髭(むなひげ)がはへてござらァ。」 いも七「ナニ首がないとは。ドレ/\ほんに

東海道中膝栗毛発端 原文28

忍ぶ草 めあてのちがう 隠れんぼ
五返舎半九