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東海道中膝栗毛発端(とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり)

原文

東海道中膝栗毛発端 原文19

▼開

たら、あしたの昼時分(ひるじぶん)、隠居(いんきよ)のほうからくるはづに間違(まちがひ)はないといふことだ。ソリヤア請合(うけあい)。きづけへなしに、今夜(こんや)はしつかり楽(たのし)みなせへ。」【ト、弥次郎がせなかをひとつくらわせて出てゆく。弥次郎かどぐちをしめて】 弥次「コリヤア寒(さむ)くなつた。時に茶漬(ちやづけ)でもくはねへか。」 おつぼ「イヽヱよろしうござります。」 弥次「そんなら、もふねよふか。」 おつぼ「おとこをとりませう。」 弥次「ヲイ/\おれが出してやろう。」【ト、戸だなより、やぶれぶとんにかいまきなど、とりいだす所に、おもての戸をトン/\/\】 弥次「ヱヽ今頃(いまごろ)にだれだ/\。」【ト、いひつゝも、さては今おひ出した女ぼう、このことをかぎつけてや、ふりこんできたるならんか。たゞしはおやぶん、いさくさをいひに来たか。何にもせよ、見つけられてはめんどうなりと、今の女ぼうにむかひ小ごへにて】 弥次「コレ/\ひよんなことがある。

此長屋(ながや)の作法で、長屋のものが嫁(よめ)をとると、長屋中(ぢう)の者(もの)が来て、其嫁の尻(しり)をさすつてみるが定法(ぢやうほう)。今そなたの来たことを、どふしてしつてやら、それでさすりに来おつたに違(ちが)ひはない。そなたは懐妊(くわいにん)のよし。おなじくは、まだ今宵(こよひ)は来ませぬといつて、見せたくねへが、どふであろう。」 おつぼ「ヲヤ/\わたしはいやだのふ。殊(こと)にたゞの身ではなし。しらないお人に、このおゐどを撫(なで)させる事はいやだねへ。」 弥次「そんならどこぞへかくしてへものだが、此通二階(にかい)はなし。ヲツトあるぞ/\、窮屈(きうくつ)ながら、