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東海道中膝栗毛発端とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり

原文

東海道中膝栗毛発端 原文25

弥次さん、おめへもはらがたつたろうが、どふぞ了簡りやうけんして、この取始末とりしまつをしてくんなせへな。」 弥次「おれをば、いろ/\な目にあはせる。」 北八「なんぼ勘当かんどう同然どうぜんにした女でも、かうなつてはおやの所へもしらせずばなるめへ。だれをやつたものだろう。」 いも七ソリヤアわしでもいつてやろうが、ぜんてへ、是はどふいふわけか、さつぱりわからねへ。おらが新道しんみちさかなやにあづかつてゐた女、余所よそ隠居ゐんきよの妾だが、片付かたづけたい世話せわしてくれろとたのまれたから、こゝの内へ仲人なかうどしたが、今きけばおめへの女房とは、どふした

理屈りくつだ。」 北八マア/\あとでわかる。其さかな屋といふは、おいらがおやかたの所の出入。あづけておゐたは、やつぱりおいら、マアそれよりか、はやく親の所へしらせてへ。それも、その肴屋までしらせると、親の内へあそこからしらせてくれる。」 いも七「そんならいつて来やせう。」【ト、いも七は出てゆく。きんじよの人々手つだいて、そこらとりかたづけ、めい/\くやみをのべあいさつして、みな/\ひとまづかへると】 北八「何にしろ、わつちはちよつといつてやう。ゆふべそつと出たまゝだから、あとはいゝやうにたのみます。」【ト、かみいれから金二歩出して弥次郎にわたし、出かけんとする所へ、ほうばいの与九八きたり】 「ヲヤ/\きた八どの爰にか。おやかたが