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東海道中膝栗毛発端(とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり)

原文

東海道中膝栗毛発端 原文27

▼開

しろ、けふは内が取込(とりこみ)でゐるから、又そのうちに。」【ト、あいさつそこ/\にして、与九八は出てゆくと、引ちがへていも七立かへり】 「サア/\親元へはしらせて来たが、是から買(かひ)ものをせずはなるめへ。」 北八「御苦労(くろう)/\。迚(とて)ものことに、わつちといつしよに来てくんねへ。」【ト、弥次郎へわたした二歩をとつて、いも七をひきつれ、はやおけその外の入用のしなをとゝのへてくると】 弥次「ヲヤ手めへ気のきかねへ。序(ついで)に酒もかつてくればいゝ。」 北八「それをぬかるものか。」【ト、はやおけの中から一升とくりに、まぐろのさしみをとりいだし、まづのみかけてゐる所へ、あひながやのものも、だん/\大さかもりとなり、酒もあとからかひたして、のこらずなまゑひとなり、まきしたにて】 いも七「サア/\この元気(げんき)で佛(ほとけ)を桶(おけ)へさらけこんでしまをふ。時に寺(てら)はどこだ。」 弥次「馬鹿(ばか)ァ

いへ。おいらが内に寺があつてたまるものか。」 北八「そいつはつまらねへ。」 弥次「かまうこたァねへ、なんでも持出(もちだ)しさへすりやァ、どこかしら寺があるだろう。」 北八「それだとつて、葬礼(そうれい)をかついで、寺町(てらまち)を呼(よば)はつてあるひたとつて、かいてはあるめへ。」 いも七「イヤ、それもおもしろかろう。わしは寺町へばかりあきなひにゆくが、呼(よび)よふが町(まち)とはちがひやす。マア今頃のしろものなら、死んでいこ(新大根)/\、ゆうれんそう(菠薐草)や、ばけぎ(分葱)や/\。卒都婆(そとば)の干物(ひもの)に石塔(せきとう)のたちうりなぞは、よく売(うれ)るから、葬礼(そうれい)も買手(かいて)がありま