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東海道中膝栗毛発端(とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり)

原文

東海道中膝栗毛発端 原文11

▼開

髭(ひげ)だらけで、胸先(むなさき)から腹(はら)ぢうに癬(たむし)がべつとりで、足(あし)は年中(ねんぢう)雁瘡(がんがさ)でざら/\して、イヤまた寝(ね)た時寝息(ねいき)の臭(くさ)い男。」 弥次「ヤイ/\/\こいつめが、亭主(ていしゆ)を羅利(らり)骨灰(こつぱい)にしやァがる。」 おふつ「ヲホヽヽヽそれでも男といふものは、すたらねへもので、女とさへいやァ、眼一(がんち)でも鼻欠(はなつかけ)でも、ただは通(とを)さぬ気性(きしやう)。さだめし念比(ねんごろ)しられた人も邂逅(たまさか)にはありましたろうが、あんまりこのもしい男でもござりませんから、おまへさんがたのやうに後(あと)を追(おつ)て来た人は

ひつとりもござりません。この狭(せま)いうちに、女房がふたり三人あつたら、大家から根太(ねだ)がたまらねへ店(たな)を明(あけ)ろと追出(おひださ)れるでござりませう。人のしらねへうちに、はやくつれてお帰(かへり)なされませ。」 兵五「ヱレハイ最前(さいぜん)から、つべらこべらと此女中よくしやべるが、其方は先(まづ)なにものだい。」 おふつ「アイわたしかへ、弥次郎兵衛の女房でござります。」 兵五「アニ女房だい、見たくでもないヤア。これ弥次郎兵衛、お身女房をもつたか。ヱレ/\是非(ぜひ)に及(およ)ばない、