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東海道中膝栗毛発端(とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり)

原文

東海道中膝栗毛発端 原文03

▼開

道中膝栗毛(どうちゅうひざくりげの)発端(はじまり)

東都 十返舎一九編

武蔵野(むさしの)の尾花(をばな)がすゑにかかる白雲(しらくも)と詠(よみ)しはむかし/\、浦(うら)の苫屋(とまや)、鴫(しぎ)たつ沢(さは)の夕暮(ゆふぐれ)に愛(めで)て仲(なか)の町の夕景色(げしき)をしらざる時のことなりし。今は井の内に鮎(あゆ)を汲(く)む水道(すいだう)の水長(とこしなへ)にして、土蔵造(どぞうづくり)の白壁(しらかべ)建(たち)つゞき、香(かう)の物桶(ものおけ)、明俵(あきだはら)、破(やぶ)れ傘(かさ)の置所(おきどころ)まで、 地主(ぢぬし)唯(たゞ)は通(とを)さぬ大江戸の繁昌(はんじやう)。他国(たこく)の目よりは大道(だいだう)に金銀(きんぎん)も蒔(まき)