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東海道中膝栗毛発端(とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり)

原文

東海道中膝栗毛発端 原文17

▼開

拾五両つけて片付(かたづけ)たいと、わしがたのまれて居(ゐ)るから調度(てうど)よいが、しかし女房のある上へはどふもと、はなしにつゐて、おれもその拾五両ほしい最中(さいちう)、たとへ腹(はら)には鬼(をに)の子がやどつてゐよふが、金(かね)さへもつてくれば、年増(としま)女房にあきた所、こいつは妙(みやう)だと此(この)狂言(けうげん)をかいて、きさまたちふたりを頼(たの)んで、まんまと上(じやう)首尾(しゆび)にやりはやつたが、彼(かの)持参金(ぢさんきん)のしろものは、いよ/\急(きう)に来る筈(はづ)か、どうだ/\。」 いも七「イヤくるはづとも/\。おめへも金(かね)が急(いそ)ぐといふ。さきでも

腹(はら)が落(をち)そふだから、一刻(いつこく)もはやいがいゝと、せきこんでゐられるから、そこで今夜(こんや)更(ふけ)てから、そつと駕(かご)でこゝへむけてくるはづにしておゐた。ちよつぴり酒(さけ)でも出さにやァなるめへが、内にとつたのがありやすか。」 弥次「ヤア/\今夜くるのか、ヱヽそれはまた早急(さつきう)な。それとしつたら、けふ髪月代(かみさかやき)でもしておこうものを。ドレちよつと髭(ひげ)ばかりでも剃(そつ)て来(こ)やう。」 いも七「アヽ、コレ/\今頃(いまごろ)どこに髪結床(かみゆひどこ)があるものだ。そんなことよりか、酒(さけ)の支度(したく)でもするがいゝ。コレサおめへなにをまご/\する。」 弥次「イヤ何も