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東海道中膝栗毛発端(とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり)

原文

東海道中膝栗毛発端 原文16

▼開

どゝは夢(ゆめ)にもおもはねへ。別(わか)れをするも、みんなおれがわりいからだ。」【ト、さすがの弥次郎も、女ぼうの手まへきのどくさふ。かたかげへまねきて、いろ/\に、だましつ、すかしついひふくめ、すゞりばことりいだし三くだり半をかきてやれば、びんぼう人のきさんじさ、きの身きたまゝ、くしばこにふろしきづゝみひとつ、ひつかゝへて、なみだながら、しほ/\として出てゆくと、兵五ざへもん、大小をとつてほうり出し】 「ヤレ/\重荷(おもに)をおろした。ナント弥次さん、わしが仕打(しうち)は妙(みやう)でありませう。」 弥次「駿河(するが)ものゝ詞(ことば)おそれ入さ。田舎(いなか)侍(さぶらい)の出立、いかな後家(ごけ)の質屋(しちや)へ見せても、百石(ひやくこく)どりとは直打(ねうち)する男を棒手振(ぼてふり)の芋(いも)七にしておくは惜(おし)いもの。それにこのまた、矢場(やば)のお蛸(たこ)が

田舎娘(いなかむすめ)の身振(みぶり)、妙(みやう)であつた。皆(みな)おれが自作(じさく)の狂言(けうげん)で、ふたりを頼(たの)んで女房(にようぼう)にいつぱいくわせ、追出(おひだ)したも、あの陰気(ゐんき)ものに飽果(あきはて)たからの事。ひとつには急(きう)に拾五両といふ金(かね)がなければならねへことで、芋(いも)七きさまへふつと咄(はな)したら、きさまのいふには、ソリヤさいわゐの事がある、さる所の隠居(ゐんきよ)が、内の腰本(こしもと)に手をつけ孕(はらま)したゆへ、聟(むこ)や娘(むすめ)の手前(てまへ)、しれぬさきにとて表向(おもてむき)いとまを出して、請(うけ)人の所へ内證(ないしやう)で預(あづ)けておかれたが、どうぞ腹(はら)の子(こ)ぐるめに金