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東海道中膝栗毛発端とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり

原文

東海道中膝栗毛発端 原文09

すると喜多八めが、その後家ごけ請合うけやつて手にいれる仕様しやうがあるといつたが、なるほどそふいけばあいつめは、おかまをおこすはなしだが、そこではおいらもわりい事はなし。どふぞこゝで、しくじらさねへやうにしてへものだが、しかたがねへ。時にめしにしよう。なんぞさいはねへか。」 おふつ「さつきのむき殻汁からじるさ。」 弥次ナニ抜身ぬきみがくはれるものか。しかしこいつも、きらずとあればきづけへなしだ。」【ト、此内日もくれたるに、あんどうをともし、弥次郎ちやづけをくひかゝる時、としの頃五十あまりの侍、たびしやうぞくにて】 イヤ卒爾そつじ

ながら、駿河するが府中ふちうからおざつた、弥次郎兵衛殿は爰元こゝもとでおざるかヤア。」 おふつハイこつちらでござりますが、どつちからお出なさいました。」 イヤハイ気遣きづかひなものではおざんないヤア。」【ト、三十ちかき女をつれてはいり、こしをかくるを見て、弥次郎きもをつぶし】 弥次コレハ兵太ひやうた左衛門さへもんさま。妹御いもふとごをつれて、何として御出府ごしゆつふでござります。」 兵五「あんとしてたァきよくがない。このいんもふとめを、きさまの所へ嫁入よめいりにつれてまいつたのでおざるヤアかうばかし申ては、合点がつてんがまいるまい。きさま国元くにもとにて、これ