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東海道中膝栗毛発端(とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり)

原文

東海道中膝栗毛発端 原文09

▼開

すると喜多八めが、その後家(ごけ)を請合(うけやつ)て手にいれる仕様(しやう)があるといつたが、なるほどそふいけばあいつめは、おかまをおこすはなしだが、そこではおいらもわりい事はなし。どふぞこゝで、しくじらさねへやうにしてへものだが、しかたがねへ。時に飯(めし)にしよう。なんぞ菜(さい)はねへか。」 おふつ「さつきのむき身(み)殻汁(からじる)さ。」 弥次「ナニ抜身(ぬきみ)がくはれるものか。しかしこいつも、きらずとあればきづけへなしだ。」【ト、此内日もくれたるに、あんどうをともし、弥次郎ちやづけをくひかゝる時、としの頃五十あまりの侍、たびしやうぞくにて】 侍「イヤ卒爾(そつじ)

ながら、駿河(するが)の府中(ふちう)からおざつた、弥次郎兵衛殿は爰元(こゝもと)でおざるかヤア。」 おふつ「ハイこつちらでござりますが、どつちからお出なさいました。」 侍「イヤハイ気遣(きづか)ひなものではおざんないヤア。」【ト、三十ちかき女をつれてはいり、こしをかくるを見て、弥次郎きもをつぶし】 弥次「コレハ兵太(ひやうた)左衛門(さへもん)さま。妹御(いもふとご)をつれて、何として御出府(ごしゆつふ)でござります。」 兵五「あんとしてたァ曲(きよく)がない。このいんもふとめを、きさまの所へ嫁入(よめいり)につれてまいつたのでおざるヤア。斯(かう)ばかし申ては、合点(がつてん)がまいるまい。きさま国元(くにもと)にて、これ