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東海道中膝栗毛発端(とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり)

原文

東海道中膝栗毛発端 原文14

▼開

公(こう)を大切(たいせつ)に勤(つとめ)られよ。また妹(いもふと)おたこことは、仮(かり)初(そめ)にいひ約束(やくそく)せし男の外、他(た)へ縁(えん)さつくまじとは寔(まこと)に貞節(ていせつ)のいたりと、殿(との)にも不便(ふびん)に思召(めさ)れ、下(した)地(ぢ)より馴染(なじみ)たる男に添(そは)せよとの御意(ぎよゐ)。有難(ありがた)くお受(うけ)申て、それより爰まで罷越(まかりこし)たる所、さきの男、今女房(にようぼう)を持(もち)おるゆへ、すご/\と妹をめしつれ帰(かへ)りましたと、アニハイ兵五左衛門ともいわるゝ侍(さぶらひ)が、生頬(なまづら)さげてかへられずかヤア。サア妹(いんもふと)めを妻(さい)にいたせばそのとをり。いやだといへば是非(ぜひ)

とも縄(なは)をかけて国元(くにもと)へひきつれ、家老(からう)中へ此段(だん)を披露(ひろう)し、一旦(いつたん)約(やく)せし利金太かたへ、おのれをわたさねば、兵五左衛門武士(ぶし)がたゝない。サアせずことがないと諦(あきら)めて、縄をかゝれ。但(たゞ)しは踏(ふみ)つけてめしとらずかヤア。」 弥次「ハア成程(なるほど)。そふおつしやればきこへましたが、しかしそれはおめへさまのほうの得手(ゑて)勝手(かつて)。たとひ此身は三枚(まい)におろされ、切割(きりきざま)れて塩辛(しほから)にせらるゝとも、我(われ)を大切(たいせつ)にして艱難(かんなん)辛抱(しんぼう)する此女房(にようぼう)を捨て、妹御(いもふとご)を

東海道中膝栗毛発端 原文14

しな玉や 御の魚の 抜け潜り
月麿