なる身どもが、いんもふとのお蛸と密通をせられたといふこと、跡にて聞て腹立はいたしたれども、たんだひとりのいんもふとがこと、どふした縁でかな貴様でなくては添ぬと申すゆへ、不便におもつて堪忍の胸を撫て、すいた男に添せずとおもひきはめ、わざ/\めしつれて参つておざるヤア。此うへからは随分と、いんもふとめを不便がつてやつて下され。まず祝つて冷酒でなりと盃をさせずに。サア/\はやく/\。」 おふつ「ヲヤ/\おめへさんは
どなたかはしらねへが、どこのくにゝかめつそうな。想体男といふものは、女にあつて二世の三世のと、真実らしくいひかけて欺してみるは、女をおとすおさだまりの口上。それをまんまことにして、駿河からわざ/\其男に添そふとつて、つれておこしなさるといふは、馬鹿気きつてゐるじやァござりませんか。又妹御も妹御、満足な男でもあることか。わたしは仕方なしに添てはゐますれど、色が黒くて、目が三かくで、口が大きくて