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東海道中膝栗毛発端(とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり)

原文

東海道中膝栗毛発端 原文10

▼開

なる身どもが、いんもふとのお蛸(たこ)と密通(みつつう)をせられたといふこと、跡(あと)にて聞て腹立(ふくりう)はいたしたれども、たんだひとりのいんもふとがこと、どふした縁(ゑん)でかな貴様(きさま)でなくては添(そは)ぬと申すゆへ、不便(ふびん)におもつて堪忍(かんにん)の胸(むね)を撫(なで)て、すいた男に添(そは)せずとおもひきはめ、わざ/\めしつれて参つておざるヤア。此うへからは随分(ずいぶん)と、いんもふとめを不便(ふびん)がつてやつて下され。まず祝(いわ)つて冷酒(れいしゆ)でなりと盃(さかつき)をさせずに。サア/\はやく/\。」 おふつ「ヲヤ/\おめへさんは

どなたかはしらねへが、どこのくにゝかめつそうな。想体(そうてへ)男といふものは、女にあつて二世の三世のと、真実(しんじつ)らしくいひかけて欺(だま)してみるは、女をおとすおさだまりの口上。それをまんまことにして、駿河(するが)からわざ/\其男に添(そは)そふとつて、つれておこしなさるといふは、馬鹿気(ばかげ)きつてゐるじやァござりませんか。又妹御(いもふとご)も妹御、満足(まんぞく)な男でもあることか。わたしは仕方(しかた)なしに添(そつ)てはゐますれど、色(いろ)が黒(くろ)くて、目が三かくで、口が大きくて