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東海道中膝栗毛発端(とうかいどうちゅうひざくりげのはじまり)

原文

東海道中膝栗毛発端 原文08

▼開

をとろふものをハヽヽヽヽ。おかみさん、弥次さんはまだかへ。ヲヤ/\噂(うわさ)をいへば影(かげ)がさすと、ソレ旦那(だんな)がおけへりだ。」【ト、ふたりおのがうちへひつこむと弥次郎兵衛かへりて】 弥次「エゝこの畜生(ちくせう)めは、願(ぐわん)にかけておらが所の裏口(うらぐち)に寝(ね)てゐらァ。おふつ、茶(ちや)はわいてあるか。」 ふつ「ヲヤおめへ、酒計(さけばかり)で、おまんまはまだかへ。」 弥次「しれてあることさ、居酒屋(ゐざかや)へはよつたが居飯屋(ゐめしや)へはよらなんだ。」 ふつ「そして、喜多八さんの所から、なんでたび/\呼(よ)びにくるのだへ。」 弥次「おれにかねをかしてくれろとつて。」 ふつ「ヲヤばからしゐ、どふしたのだへ。」 弥次「あいつめが

仮宅(かりたく)へでもはまつたそふで、親方(おやかた)の金(かね)をちつとばかり、つかひこんだといふことだ。其尻(しり)がわれると、しくじるはあたりまへだが、こゝでしくじつては理屈(りくつ)のわりいことがあるといふ。なぜだときいたら、あそこの番頭(ばんとう)めが、此間、疝気(せんき)が天窓(あたま)へさしこんで、それなりにあたまが、しやつきりとなつて死(しん)だといふことだ。それに親方(おやかた)は年寄(としより)の癖(くせ)に美(うつく)しゐ若(わか)いかみさまをもつて、腎虚(じんきよ)して、もふ、けふかあすかといふくらゐ、これも今にめでたくなるは必定(ひつでう)。そふ