をとろふものをハヽヽヽヽ。おかみさん、弥次さんはまだかへ。ヲヤ/\噂をいへば影がさすと、ソレ旦那がおけへりだ。」【ト、ふたりおのがうちへひつこむと弥次郎兵衛かへりて】 弥次「エゝこの畜生めは、願にかけておらが所の裏口に寝てゐらァ。おふつ、茶はわいてあるか。」 ふつ「ヲヤおめへ、酒計で、おまんまはまだかへ。」 弥次「しれてあることさ、居酒屋へはよつたが居飯屋へはよらなんだ。」 ふつ「そして、喜多八さんの所から、なんでたび/\呼びにくるのだへ。」 弥次「おれにかねをかしてくれろとつて。」 ふつ「ヲヤばからしゐ、どふしたのだへ。」 弥次「あいつめが
仮宅へでもはまつたそふで、親方の金をちつとばかり、つかひこんだといふことだ。其尻がわれると、しくじるはあたりまへだが、こゝでしくじつては理屈のわりいことがあるといふ。なぜだときいたら、あそこの番頭めが、此間、疝気が天窓へさしこんで、それなりにあたまが、しやつきりとなつて死だといふことだ。それに親方は年寄の癖に美しゐ若いかみさまをもつて、腎虚して、もふ、けふかあすかといふくらゐ、これも今にめでたくなるは必定。そふ