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方言修行むだしゅぎょう 金草鞋かねのわらじ江之島鎌倉廻えのしまかまくらめぐり

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扇个谷・源氏山

扇个谷あふぎがやつ源氏山げんじやま

とうくはうざんゑいしやう
じはあふぎがやつにあり
このちはおほたどう
くわんのきうせきなり
このへんずいゝちの
大てらにてしよ
どうのそうごん
けつこうなり
ほんぞん
あみだぶつ
うんけいのさく
さんもんそう
もんのがくしん
ひつなりけい
だいにたく
あんのせきばん
ありこのにし
の山をげんじ
山といふ
あぶつにの
とうこの
けいだいの
きたにあり

狂歌

げん
じ山
ひかる日の
   出は
すへひろの
あふぎが
   やつの
かすむ
  あけぼの

たび人
「あのあめをかつ
てゐるとしまは
なか/\まんざらて
ないきりやうだ
しりめでわしの
かほをみるはわし
にきがあるとみへる
ちよつときいてみ
やうもし/\おかみ
さまちとものが
おたづね申したい
おまへわたしに
きがありますか
ほれなさつたか
どふでござり
ます
「ナニわたしが
ほれたか

きがあるかとはこのやらう
めはとんだ事をいふうぬのやうな
ふけいきなやらうにたれが
ほれるものかたは
ごとをぬかすと

よこつ
つらをはり
とばす

「けふは
大ぶんさん
けいの
ある日
だわへ
ばんには
さいせん
ばこのかん
ぢやうを
いた


「これしたりこぜにが
ない四もんせにを
さいせんになげるも
ついへだかりにして
たゞおがんで
おこうきかうも
そうな
さい