お江戸のベストセラー

方言修行むだしゅぎょう 金草鞋かねのわらじ江之島鎌倉廻えのしまかまくらめぐり

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跋

年々、相も変わらぬ『金草鞋かねのわらじ』、幸いに御評判を得て、版元のよく辛抱、その喜び少なからず。今年、二十四編にいたる。なにとぞ、相変わらず、御評判よろしく願い上げ奉ります。

おさまれぬ御代とて金の草鞋まで
長刀なぎなたなりに斬れぬめでたさ

西国道中 金草鞋かねのわらじ
全六冊近刻
さきに著せし西国道中は、大阪より船路のおもむきを記せしにて陸地にあらず。これにより、この編に長崎までの陸道を記す。
十返舎一九 作 北尾美政 画

注釈

長刀なり
履き古して長刀のようにのび曲がった草鞋。実際の長刀の意も含め “斬れぬ” となっている。

このころは、文化・文政(享楽の化政文化)期を経て、そろそろ天保の改革での風俗への締めつけが始まるという時期。そんな、きな臭い時勢を詠んでます。