佐竹天王・本覚寺
①
ゆいのはまとりゐのうち
にいりてゑんま川を
わたり身がはりぢ
ぞうつじのやくし
さか川のはしをうち
わたり大まちさた
けてんわうのみや
にいたるそれより
大きやうじほうかくじ
にゆきて中のとりゐ
まへびわはしにいづる
なり
狂歌
旅はうき身
がはり地蔵
ふしおがむこれも
他生のゑんま
川かな
②
「そなたをかごにのせずに
あるかするもわれらりやう
けんあつてのことだからたいぎ
であらうけれどせいだして
あるいてくださいばんのとまりに
あんばいのよいところをせう
くはんいたすのがわれらなに
よりそれがたのしみだ
「さやうならわたしはせいだして
あるきませうがあなたはおかごに
めしませあまりおくたびれなされ
たらばんのおやくにたちますまい
「きづかいしやるなこんなことで
くたびれることではないわしの
あるくのはりやうあしを
すりこぎにいたそうと
思つての事たそうなると
いつほんのすりこぎが三
ぼんになるからそなたは
さぞうれしからうどうだ/\
「だんなさまのすり
こぎはあてがあるから
よろしふござりますが
つまらぬはわたくしの
すりこぎでござります
まづこゝにさしたニほんの
すりこぎとりやうあしから
つがう五ほんのすりこぎに
おかごのしゆうのすりこぎが
ふたりて六ほんそれに
りやうがけもちのべくないが
すりこぎか三ぼんつがう
しめて十四ほんみなふようの
すりこぎこのいたしかたが
ごさりませぬなんと
たんなさまこれは
③
いかゞいたしませう
「それはこうするがよい
らいはるやまとめぐりに
ゆくからそれまでまつが
よいそのときそのすり
こぎはみなかうやへ
でもをさめてしまうが
よからう/\
④
「これからかな
ざはへいつて
あみをひかせて
おもいれ
さかなを
とつて
みなの
もの
にも
うまい
さけを
一はい
づゝ
のませ
よう
なんと
うれ
しいか/\
その
かはり
二はい
とは
ならぬぞ