朝比奈切通
①
それよりかなざはにいたるに大くらに
いでてほうしやうのやしきあとよりつね
しやうぐん御だい/\のやかたのこせき
よりともこうやしきあとうたの
はしをすぎてあさひなの
きりどほしにいたるこの
さきじゞう川をすぎて
てるてひめみかはりの
くわんおんありかま
くらよりきりどほし
まで一りこれより
かなざはへ一り
狂歌
あさひなの
ちからならねど
たび人も
ひけるかすみを
きりどほしみち
②
「なんと此きりどほしは
あさひながきりぬい
たといふことそして
もんをもやぶつたといふはちからの
つよい人しかしわしも六十になるが
むしろをやふることにほねのおれぬ
からとうぞむしろよりかどこぞの
③
むすめの
いとだて
をやぶり
たいが
かみさん
おまへにむ
すめのいとだ
てがあるなら
やぶらせなさい
④
「むすめのいとたてより
わしのむしろはどうでこざる
わしのむしろはやぶらずとも
もふとうからやぶつてごさるから
そんなにほねはおれませぬ
六浦
⑤
むつうらをすぎてかなざはの三しまめうじんの
やしろびわじまべんざいてんよりあづまやといふ
みはらしよきちややにいりてあみぶねの
ゆさんはまぐりとりのなぐさみあり
ここのにはのいけすにいろ?のさかな
ひれふりあそぶさまうみのうをの
いきたるはとくわいの人のめには
めずらしく見へ
たり
狂歌
いつかはと
まちしねがひも
かなざはの
あづまや
に見る春の
八けい
⑥
「さあ/\おきやくだよ/\
おくのおざしきはあいて
いるかなんてもうつく
しいぞろひの女ちう
がたばかりその
かはりそう/\
しいばかりでたん
とのぜにもなる
まいけれどよもや
くひにげはある
まいなんでも
そろひの
⑦
きもので
かねを
つかひそう
にはみへても
つふりには
べつこうと
見せて
いまはや
りの
びいどろ
だから
そのきで
いきなさい