雪の下・段蔓
①
かまくらさうしうかまくら
こほりにありかまくらのさと
ともいふ八まんくうのまへの
まちをゆきの下といふちやや
はたこやおほしかまくらいつけんの
ひとはこゝにてあんないをとりて
よしだんかつらといふにいちの
とりゐありこれよりはまべ
まて二のとりゐ三のとりゐ
ありひわはしありこのへん
たかうぢのやしきあとほんかくじ
みやうりうじしんわうやしきあとあり
狂歌
出来秋のいねをかるてふ
かまくらや
これほうねんのゆきの下町
②
「さて/\これはこまつたことをした
わしはあとのたてばへかんじんのすいつゝを
わすれてきたとりにもどるにはこれから
またいちりばかりもあとへかへらねは
ならずひとをたのんでとりに
やればせにがいるはてこまつた
ものだおもひきつてひとをたのんて
やらうかたゝしはおれがとつてこやうか
これはどうしたものであらう
③
「もし/\おまへのわすれたと
いひなさるはこのすひつゝの事かへこれは
わたしのすひづゝだから今わたしがあとへ
もどつてとつてまいりました
「さてはおまへのすひづゝであつたか
それでわたしはおちついたそれが
ひよつとわたしのすひづゝかと思って
さつきにから大きにきをもんだが
おまへので
よかつた/\
「これはおかしやおまへので
よかつたもおしのづよいおまへは
げこてさけはきらひでゐながら
どうしてこのすひづゝをもちな
さるものか
「それ/\よくかんがへて
みればわしはさけはきらひで
あつたにそこにはさつぱり
きがつきませなんたゆうべ
のやどでもふんどしをほした
なかでけさわすれて出やう
としてたちしなにきがついて
すぐにとつてたもとへいれて
出かけみるとふんどしはひとつ
しめてゐるものをこれはしたり
これはひとのであつたそゝうな
事をしたと思ふところへあと
からおつてのものがきてくせ
ものまておいへのてうほうけんじ
のしらはたをうばひとりたるくせ
ものそう/\こつちへわたせといひ