お江戸のベストセラー

方言修行むだしゅぎょう 金草鞋かねのわらじ江之島鎌倉廻えのしまかまくらめぐり

24

最明寺旧跡・亀の井

最明寺旧跡さいめうじきうせきかめ

さいめうじの
きうせきは
山のうちに
ありふくげん
さんぜん
こうじと
いふくわんと
うぜんしう
十かじの
その
一なりほんぐわんは
たいらのとき
よりにてむかしは
七どうがらんの大
てらなりしといふめい
げついんはさいめうじの
ひがしにありうへすぎ
のりかたのこん
りう也かめの
井はめいげつ
いんのうし
ろにあり
かまくら
十井の
そのひとつ
なり

※太字部分は、底本がかすれて判読できなかったため「早稲田大学古典籍総合データベース」を参照しました。

狂歌

せんしうの
めいげつ
いんの
うしろには
これ
ばん
ぜいのかめの
井もあり

「なんとかみさんこゝはいなか
でもえどがちかいから
よいおとこもおり/\はみな
さるであらうがわたしのやう
ないろおとこはめつたには
あるまいの
「とんだ
ことを
いひな
さるなに
おまへが
よいおとこ
なものかき
のふもわたしの
うらのはき
だめを

そうぢしたらおまへのやうなおとこが
いくらもぞろ/\と出てうるさいから
みなひとつにかためて川へなげて
しまひましたおまへもそこに
いつまでもゐな
さると川へながし
てしまひ
ますぞ
「そんならよもや
わたしひとりを
ながすきでは
あるまいおまへ
いつしよに
ながされる
きかどうだ
「わたしでは
ないおま
へといつ
しよに
ながす
ものが
あります
わたしのとこ
ろのしんだばあ
さまがひさしくこし
ぬけでいましたが
そのときつかつた
おかはがあるから
おまへとその
おかわと

いつしよにながします
「さてはそのおかはと
いふ女はよい女か
どこのもの

なんに
しろ
おんな

きい
ては
なんで

かまはぬ
しからば
その
おかはと
われか
ふたり
その
川へ
うきなを
ながすのか
これは
うれ
しい/\

「やれ/\
このだんご
にはけし
ずみの
ひが
くつついて
いて
くちの
はたを
大きに
やけど
をした

「あつやの/\

「だんご
でもあが
りませぬか
わたしがこの
あかだらけな
手でまるめた
のでござ

ます

「かみさんこのへんに
ごけのしちやは
あるまいかの
どうぞわしを
しちにとつて
もらいたい
りもくふが
めしも
大くらひだ