巨福山興国建長寺
①
こふくさんこうこく
けんてうじはかま
くら五山の一ばん
めなりほんぞんは
さいだぢぞうそん
なりおうぎやうの
さくいにしへは
このところをぢごく
だにとてとがにんを
けいばつせしところ
なりときよりのとき
とがにんさいたといふ
ものつねにぢぞう
ぼさつをしんこうし
けるがきられんとせし
ときまもりにかけたる
ぢぞうのりせうありて
たすかりたりこのぢぞうを
ほんぞんとしてこのてらこん
りうありしなりいたつて
たいちにてけいだい見どころ
おほし
狂歌
くさなぎの
けんてうじとや
けいだいを
はらひきよめて
ちりひとつなし
②
「せけんのたとへにもきれいに
はきちぎつたことをけんてうじ
のやうだといひますがそれに
ひきかへてわたしのうちのかゝあ
めがぢゝむさいにはこまります
なんでもいきなりでついに
おはぐろをつけたこともないくち
からねづみいろのよだれをたらして
どこもかしこもふそうぢできたない
からとき/\わしがそうぢしてやり
ますがこんなにひさしくたびへ出て
ゐるからそうぢしてやる人がなくて
さぞかしよごれてゐるであらう
はやくかへつてそうぢをしてやらうと
思へばそれがたのしみでござります
「イヤおまへこそさふ思つてゐなさらうが
おまへのるすにかみさまがだれぞよい
ほうきをこしらへてそうぢをして
もらはふもしれぬぞへ
「さやう/\それもしれませぬものぐさものゝ
せつくばたらきといふことがあるから
③
そんな
事のない
うちに
わたしは
このせつく
まへには
ぜひ
かへらうと
ぞんじ
ます