お江戸のベストセラー

方言修行(むだしゅぎょう) 金草鞋(かねのわらじ)江之島鎌倉廻(えのしまかまくらめぐり)

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松葉谷安国寺・補陀洛寺

▼開

松葉谷安国寺(まつばがやつあんこくじ)

①

まつばかやつあんこくしは
にちれん上人ほうしうより
こゝにこもりあんこくろんを
あらはし給ふところなり
こゝにめうほうさくらといふ
めいぼくありさたけやしき
なごしみちのかたにありさたけ
四郎ひてよしのきうせきなり
にちれんすいおさるばたけも
みなこのなごへさかのほとりなり

狂歌

ぢゝばゝのまいりおほきは
たかさごのまつはかやつの
      そしどうにこそ

②

さんけい
「にちれんさまが此おてらで
あんこくろんといふしよもつを
おかきなさつたといふことだが
わしのほうへたへてきたたん
こぶろんはいろ/\にしてもなを
らぬゆへあんこくろんをおかきな
されたそしさまだからたんこふ
ろんもごぞんしてあらうどうそ
なをりますやうにとおたのみ申したら
そのばんにたんこふはなをつたがまたきんたまへ
たんこふかできてきんたまがふへたからきんの

③

ふへるは
めてたい
これも
御りやく
で
あらうと
おれいまい
りに
まいり
ました

補陀洛寺(ふだらくじ)

④

てうせうじはなごへさかのにしにありこれより
てんせうざんのやしろふだらくじのくわんおんこのさき
三うらどうすんのしろあとあり

狂歌

此けしきあかず三うらの
   しろあとやうてう
てんせうさんのながめに

⑤

「わしはきさまの見る
とほりさけがすき
だからさかやをみる
たびにさけがのみ
たいけれどおれ
ばかりはのまれず
きさまにものま
せるからきさま
だけよけいぜに
がいるゆへわしも
こらへてのみたい
のをしんぼうして
いるがきさまかへる
まではさけを
やめてくれぬか
どうだ/\
「これはだんなには
おなさけない

⑥

ことをわたくしさけは
めしよりすきで
こざりますものを
いのちにかへても
やめられませぬ
そのおぼしめし
ならいつそのこと
わたしをころして
くださりませ
しかしそのころす
まへに一はい
のまして

⑦

ころ
さるゝは
ほんもう
しんでも
いきかはりしに
かはりゆうれいに
なつてあとひき
にあらはれ
ます