松葉谷安国寺
①
まつばかやつあんこくしは
にちれん上人ほうしうより
こゝにこもりあんこくろんを
あらはし給ふところなり
こゝにめうほうさくらといふ
めいぼくありさたけやしき
なごしみちのかたにありさたけ
四郎ひてよしのきうせきなり
にちれんすいおさるばたけも
みなこのなごへさかのほとりなり
狂歌
ぢゝばゝのまいりおほきは
たかさごのまつはかやつの
そしどうにこそ
②
さんけい
「にちれんさまが此おてらで
あんこくろんといふしよもつを
おかきなさつたといふことだが
わしのほうへたへてきたたん
こぶろんはいろ/\にしてもなを
らぬゆへあんこくろんをおかきな
されたそしさまだからたんこふ
ろんもごぞんしてあらうどうそ
なをりますやうにとおたのみ申したら
そのばんにたんこふはなをつたがまたきんたまへ
たんこふかできてきんたまがふへたからきんの
③
ふへるは
めてたい
これも
御りやく
で
あらうと
おれいまい
りに
まいり
ました
補陀洛寺
④
てうせうじはなごへさかのにしにありこれより
てんせうざんのやしろふだらくじのくわんおんこのさき
三うらどうすんのしろあとあり
狂歌
此けしきあかず三うらの
しろあとやうてう
てんせうさんのながめに
⑤
「わしはきさまの見る
とほりさけがすき
だからさかやをみる
たびにさけがのみ
たいけれどおれ
ばかりはのまれず
きさまにものま
せるからきさま
だけよけいぜに
がいるゆへわしも
こらへてのみたい
のをしんぼうして
いるがきさまかへる
まではさけを
やめてくれぬか
どうだ/\
「これはだんなには
おなさけない
⑥
ことをわたくしさけは
めしよりすきで
こざりますものを
いのちにかへても
やめられませぬ
そのおぼしめし
ならいつそのこと
わたしをころして
くださりませ
しかしそのころす
まへに一はい
のまして
⑦
ころ
さるゝは
ほんもう
しんでも
いきかはりしに
かはりゆうれいに
なつてあとひき
にあらはれ
ます