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根南志具佐(ねなしぐさ)

原文(一之巻)

根南志具佐 一之巻16

▼開

此(この)者共(ものども)に申付(まをしつけ)、急(きふ)に召捕(めしとり)差上(さしあげ)て宸襟(しんきん)をやすめ奉(たてまつら)んと、事(こと)もなげに勅答(ちよくとう)あれば、大王(だいわう)怡悦(いゑつ)まし/\て、然(しから)ば菊之丞(きくのぜう)が来迄(くるまで)は奥(おく)の殿(との)に引籠(ひきこもり)、 天人(てんにん)どもに三味弦(さみせん)弾(ひか)せてなぐさまん。此(この)砌(みぎり)に罪人(ざいにん)どもが見(み)へたりとも、大抵(たいてい)軽(かるき)は追返(おひかへ)し、重(おも)きやつは先(まづ)六道(ろくだう)の辻(つじ)の溜(ため)へ打込(うちこん)で置(おく)べし。また最前(さいぜん)の坊主(ばうず)め菊之丞(きくのぜう)に身(み)を打(うち)し事(こと)、初(はじめ)は憎(にく)しと思(おも)ひしが朕(ちん)が心(こゝろ)にくらふれば、若(わか)い者(もの)の有(あり)そふな事(こと)なれば、再(ふたゝび)娑婆(しやば)へ返(かへす)べし。しかし此後(このゝち)菊之丞(きくのぜう)買(かふ)ことは法度(はつと)たるべし。弁蔵(べんぞう)、松助(まつすけ)、菊次(きくじ)なんどを初(はじめ)として

其外(そのほか)、湯島(ゆしま)、神明(しんめい)に至(いた)るまで、外(ほか)の者(もの)は免許(めんきよ)なるぞと勅定(ちよくぢやう)ありて御簾(ぎよれん)さつとおりければ、龍王(りうわう)は水府(すゐふ)に帰(かへ)り、皆々(みな/\)退出(たいしゆつ)したりける。

根南志草(ねなしぐさ)一之巻(いちのまき)終(おはり)