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根南志具佐(ねなしぐさ)

原文(一之巻)

根南志具佐 一之巻14

▼開

十王(じふわう)方便(てだて)に尽(つき)、もはや我々(われ/\)が知恵(ちゑ)も中橋(なかはし)なれは、此上(このうへ)は修羅道(しゆらだう)へ使(つかひ)を立(たて)、太公望(たいこうばう)、 孔明(こうめい)、 韓信(かんしん)、張良(ちやうりやう)、孫子(そんし)、呉子(ごし)、武則(たけのり)、義経(よしつね)、正成(まさしげ)、道鬼(だうき)が類(たぐゐ)の軍師(ぐんし)どもを召(めさ)れ、御評議(ごへうぎ)然(しかる)べしと申上(まをしあぐ)れば、末座(ばつざ)より、色至(いろいたつ)て赤(あかく)、眼(まなこ)光(ひかり)鏡(かゞみ)のごとく、口(くち)耳(みゝ)のきわまで切(きれ)て、首有(くびあり)て形(かたち)なきもの出(いづ)ると見(み)れば、人(ひと)の一生(いつしやう)の事(こと)を見届(みとゞけ)て帳(てう)に記(しる)す横目役(よこめやく)、見(み)る目(め)と云(いへ)る者(もの)なり。閻王(ゑんわう)の前(まへ)にすゝみ出(いで)、かた/\の御評議(ごへうぎ)、御尤(ごもつとも)には候得(さむらへ)ども、是式(これしき)の事(こと)に修羅道(しゆらだう)へ人(ひと)を遣(つかは)し、軍師(ぐんし)どもを召(めさ)れんことは

此界(このかい)の恥辱(ちぢよく)といふべし。其上(そのうへ)彼等(かれら)が智謀(ちばう)計畧(けいりやく)にて、此方(このはう)の智恵(ちゑ)を見(み)すかされなば、いかなる謀(はかりごと)をなして、小夜嵐(さよあらし)の騒動(そうどう)以後(いご)、太平(たいへい)の地獄界(ぢごくかい)、再(ふたゝび)乱世(らんせい)となるならば、上(かみ)閻王(ゑんわう)より下(しも)獄卒(ごくそつ)に至(いたる)までの難義(なんぎ)なれば、軍者(ぐんしや)を御招(おんまねき)は御無用(ごむよう)たるべし。私(わたくし)は人(ひと)のかたに居(ゐ)て、善悪(ぜんあく)を規(たゞす)が役目(やくめ)なれば、人々(ひと/\)心(こゝろ)に思(おも)ふ事(こと)をも明白(めいはく)に是(これ)を知(し)れり。菊之丞(きくのぜう)を初(はじめ)として、其外(そのほか)の役者(やくしや)ども船遊(ふなあそび)に出(いづ)べききざし有事(あること)、兼(かね)てより存(そん)たり。 此虚(このきよ)に乗(のつ)て謀(はかり)給はゞ、やわか御手(おんて)に入(いら)ざらん哉(や)と