主たる大王の智と云ふべきにあらず。是非/\御望とある事ならば、使をつかわし召捕て参んに、何条事の有べきや。何れもいかにと申されければ、一座の人々口を揃、平等王の評議、甚道理に当て砕る大王も尤と聞れければ、いざや路考を召捕に遣すべき使を詮議せられけるに、 泰山王申されけるは、それ人生れては定業にあらざれば、此土へは来らざる習なり。いざ/\定業帳を詮義あるべしとて取出させ、つく/\とくり返して申されけるは、午の霜月佐野川市
松、未の七月中村助五郎、腫物にて死すべしとは有ども、菊之丞が命はいまだ尽べき時節にあらず。御使を遣されたりとも、彼国には伊勢、 八幡を始として、彼が氏神王子の稲荷なんぞとて、四も五も喰わぬ手あひにて、此界をも直下に見下す、おへない親父が沢山に守り居れば、 中々表立ての御使にては存もよらず、此義いかにと申されければ、初江王進出て申けるは、それこそ安事なんめり。愛宕山の太郎坊、比良山の次郎坊などに申付なば、忽抓で参んこと