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根南志具佐(ねなしぐさ)

原文(四之巻)

根南志具佐 四之巻01

▼開

根奈志具佐(ねなしぐさ)四之巻(しのまき)

行川(ゆくかわ)の流(ながれ)はたへずして、しかももとの水(みづ)にあらずと、鴨(かも)の長明(ちやうめい)が筆(ふで)のすさみ、硯(すゞり)の海(うみ)のふかきに残(のこる)すみだ川(がは)の流(ながれ)清(きよ)らにして、武蔵(むさし)と下総(しもつふさ)のさかいなればとて両国橋(りやうごくばし)の名(な)も高(たか)く、いざこと問(とは)むと詠(えい)じたる都鳥(みやこどり)に引(ひき)かへ、すれ違(ちが)ふ舟(ふね)の行方(ゆくへ)は秋(あき)の木(こ)の葉(は)の散浮(ちりうかぶ)がごとく、長橋(ちやうきやう)の浪(なみ)に伏(ふす)は龍(りよう)の昼寝(ひるね)をするに似(に)たり。かたへには軽業(かるわざ)の太鼓(たいこ)雲(くも)に響(ひゞけ)ば、雷(かみなり)も臍(へそ)をかゝへて逃去(にげさり)、素麺(そうめん)の高盛(たかもり)は降(ふり)つゝの手尓葉(てには)を移(うつし)て、小人島(こびとじま)の不二山(ふじさん)かと思(おも)