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根南志具佐ねなしぐさ

原文(五之巻)

根南志具佐 五之巻01

根奈志具佐ねなしぐさ五之巻ごのまき

さだめなきひとごとにいへども、さだめなきよりは、たゞ定なきは人のこゝろにてぞありける。古人こじん春宵しゆんしやう一刻いつこくあたひ千金せんきんとめつたにたかばれば、また浮世うきよ三分さんぶん五厘ごりん捨売すてうりにするおとこもあり。されども、 春宵しゆんしやう一刻いつこく千金せんきんいだしてかふたわけもなく、三分さんぶん五厘ごりんうつ仕舞しま出来合できあひ浮世うきよもなし。いかにくちから地代ぢだいぬものなればとて、まゝのいひたいこと、つまるところよきあしきもいひなし次第しだい浮世うきよにて、浮世うきよさだめなきはひとこゝろの定なきなり。せい