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根南志具佐(ねなしぐさ)

原文(五之巻)

根南志具佐 五之巻01

▼開

根奈志具佐(ねなしぐさ)五之巻(ごのまき)

定(さだめ)なき世(よ)と人(ひと)ごとにいへども、世(よ)の定(さだめ)なきよりは、只(たゞ)定なきは人の心(こゝろ)にてぞ有(あり)ける。古人(こじん)、 春宵(しゆんしやう)一刻(いつこく)値(あたひ)千金(せんきん)とめつたに高(たか)ばれば、又(また)浮世(うきよ)を三分(さんぶん)五厘(ごりん)と捨売(すてうり)にする男(おとこ)もあり。然(され)ども、 春宵(しゆんしやう)一刻(いつこく)に千金(せんきん)出(いだ)して買(かふ)たわけもなく、三分(さんぶん)五厘(ごりん)に売(うつ)て仕舞(しま)ふ出来合(できあひ)の浮世(うきよ)もなし。いかに口(くち)から地代(ぢだい)の出(で)ぬものなればとて、出(で)る侭(まゝ)のいひたい事(こと)、つまる処(ところ)は能(よき)も悪(あしき)もいひなし次第(しだい)の浮世(うきよ)にて、浮世(うきよ)の定(さだめ)なきは人(ひと)の心(こゝろ)の定なきなり。聖(せい)