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根南志具佐ねなしぐさ

原文(五之巻)

根南志具佐 五之巻04

と、我々われ/\地頭ぢとう難陀なんだ龍王りうわう勅定ちよくぢやうくだり、龍宮りうぐうにて色々いろ/\評議へうぎありけるところそれがしいのちかけ申上まをしあげやう/\此役目このやくめうけたまはり、なにとぞ御身おんみ連行つれゆかんと忠義ちうぎ一図いちずはかりごと乗捨のりすてふねぬすみ、かくさむらい姿すがたへんじ、神変じんべんもつて俳諧はいかいなどをぎんじ、近寄ちかより御身おんみ引立ひつたて水中すゐちう飛入とびいらんとかねてよりはかりしが、 おもはずも御身おんみ器量きりやうこゝろまよひ、わりなきこひをいひかけしに、きみなさけ深緑ふかみどりまつ千年ちとせ藤浪ふぢなみの、 おもひまどひし恋衣こひごろもたがひおびうちとけし、そのむつごとのわすられず、また逢瀬あふせ兼言かねごと

かねたくみ我心わがこゝろも、きのふにかはる飛鳥川あすかがはふち瀬川せがはきみゆゑに、我身わがみすつ覚悟かくごなれば、これよりわれ龍宮りうぐうかへるとも、菊之丞きくのぜう取得とりうること中々なか/\ちからおよばずと申上まをしあげなば、龍神りうじんよりつみせられんはあんうちむかし乙姫おとひめ病気べうきときさる生胆いきぎも御用ごようつき水母くらげ仰付おほせつけられしをいはれぬ口をしやべりしゆゑ龍神りうじんのいかりをうけ筋骨すじほねぬかれてかたわとなりはぢのこせしためしもあり。われ其上そのうへ大勢おほぜいうろくずどもの並居なみゐなかにて広言くわうげんはきしことなれば、なに面目めんぼくにながらへん、山林さんりんへも