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根南志具佐ねなしぐさ

原文(五之巻)

根南志具佐 五之巻05

なげてしぬ覚悟かくごきはめたり。きみたすけて、そらゆゑしぬ我身わがみ本望ほんまうながら、しすればたちまちしやうをかへ、あさましき姿すがたとならば、さぞやあいそもつき給ん。 其上そのうへまたひとは、して未来みらいちぎれども、きみ閻王ゑんわうてううけわれまたはかなくも畜生道ちくしやうだう落行おちゆかば、相見あひみこともなりがたし。うすきえにしとおもふほどむねみづのとけやらず、かならず/\しんあとにていつぺんの御ゑかうもきみくちよりうけるなら、未来みらいげんものがるべし。さりながらわれすとも龍王城りうわうじやうにはさま/\のだれあれば、かま

へて水辺すゐへんいで給ふべからずと、ことさま/\とものがたり、またなみだにぞむせびいる路考ろかうたもとをしをりしが、御身おんみうへ物語ものがたりはじめきいおどろきいりたり。 しやうをかゆるとはいひながら、ためしなきことにもあらず。唐土もろこしにては非情ひじやううめさへ、その精㚑せいれい美人びじんなりちぎりをこめしと聞伝きゝつたふ。のもとにては安部あべ保名やすなきつね夫婦ふうふちぎりをなせば、なにかはくるしかりそめながら、まくらかはせし其人そのひと我身わがみのかはりになせては、わらはなさけ道立みちたゝず。其上そのうへわれ閻王ゑんわうのしたひ給ふときくからに、とてものがれぬいのち