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根南志具佐(ねなしぐさ)

原文(一之巻)

根南志具佐 一之巻01

▼開

根奈志具佐(ねなしぐさ)一之巻(いちのまき)

「公無レ渡レ河(こうかをわたることなかれ)、公竟渡レ河(こうつひにかをわたる)、墮レ河而死(かにおちてしす)、 當二奈レ公何一(まさにこうをいかんすべき)」と詩(からうた)に作(つくり)しは、見(み)ぬ唐土(もろこし)の古(いにしへ)、夫(おつと)の水(みづ)に溺(おぼれ)て死(しゝ)たるをなんかなしみに堪(たへ)ざる妹子(わぎもこ)の歎(なげき)とかや。されば宝暦(ほうれき)十(とを)あまり三(みつ)の年(とし)、水無月(みなづき)の頃(ころ)、荻野(おぎの)八重桐(やへぎり)となんいつる俳優人(わざおぎひと)の水(みづ)に入(いり)て死(しゝ)たる事(こと)、世(よ)の取沙汰(とりさた)のまち/\にして、それと定(さだめ)たる事(こと)を知人(しるひと)なし。其(その)由(より)て来(きた)る所(ところ)を尋(たづぬる)に、皓々(かう/\)の白(しろき)を以(もつ)て世俗(せぞく)の塵埃(ぢんあい)を蒙(かうふら)んやと憤(いきどほり)て、汨羅(べきら)に沈(しづみ)し屈原(くつげん)が流(たぐい)にもあらず、龍宮(りうぐう)の玉(たま)を取(とら)んと海底(かいてい)に飛(とび)