度と申がごとし。其上娑婆の評判を余所ながら菊之丞が絶色なる事、兼てよりかくれなければ、せめて此世の思ひ出に絵姿なりとも見まほしシ。此義は何とぞ御免を蒙たしと願へば、閻王は不機嫌にて、蓼喰ふ虫も好き/\とは其方が事なり。然れども、たつての願もだしがたし、絵図を見る事は勝手次第たるべし。しかし、おれは若衆を見るは嫌なれば、絵の有内は目を閉て見まじき程に、早とく/\と御目を閉させ給へば、 彼罪人が持たりし姿絵を柱に掛けるに、清如三春柳含二
初月一、艶似三桃花帯二暁烟一、その姿のあてやかなる事ゑもいはれざれば、人々は目もはなさず、はつと感じて暫は鳴もやまず、誠や娑婆にてうつくしきものは天人の天降たるといへども、それは畢竟遠が花の香なり。此国の極楽にては、几巾を登す同然に常に見る天人なれば美しいとも思はず、路考とくらべて見る時は、閻广王の冠と餓鬼のふんどし程の違あり。聞しにまさる路考が姿、古今無双の器量かなと、十王を始として、見る目は目玉を光らし、