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根南志具佐(ねなしぐさ)

原文(一之巻)

根南志具佐 一之巻15

▼開

聞(きく)より大王(だいわう)悦(よろこ)び給ひ、それくつきやうの事(こと)なめり、水辺(すゐへん)の事(こと)なれば、いそぎ水府(すゐふ)へ使(つかひ)を立(たて)、 龍王(りうわう)を呼寄(よびよせ)よ。畏(かしこまり)候(そろ)とて数多(あまた)の鬼(おに)の中(なか)より足疾鬼(そくしつき)とて、またゝく内(うち)に千里(せんり)行(ゆき)て千里(せんり)戻(もど)る。 地獄(ぢごく)の三度(さんど)仲ヶ間(なかま)へ仰付(をほせつけ)られければ、兎角(とかく)する間(ま)もなく、八大(はちだい)龍王(りうわう)の惣頭(そうがしら)、難陀(なんだ)龍王(りうわう)参内(さんだい)と披露(ひろう)させ、衣冠(いくわん)正(たゞ)しき其(その)よそおひ、頭(かしら)に金色(こんじき)の龍(りよう)をいたゞき、瑪瑙(めのう)の冠(かんふり)、瑠璃(るり)の纓(ゑい)、珊瑚(さんご)虎珀(こはく)の石(いし)の帯(おび)、玻璃(はり)の笏(しやく)、瑇瑁(たいまい)の履(くつ)、異形(いぎやう)異類(いるゐ)の鱗(うろくづ)ども、前後(ぜんご)をかこみ参内(さんだい)あり。御(み)

階(はし)の本(もと)にひれ伏(ふせ)ば、大王(だいわう)はるかに御覧(ごらん)あり。珍(めづら)しや龍王(りうわう)、只今(たゞいま)召(めす)こと、余(よ)の義(ぎ)にあらず、此(この)大王(だいわう)うそ恥(はづか)しくも心(こゝろ)をくだく恋人(こひびと)は南瞻部洲(なんぜんぶしう)日本(にほん)の地(ち)に、瀬川(せがは)菊之丞(きくのぜう)と云(い)ふ美少年(びせうねん)あり、是(これ)を我手(わがて)に入(い)れんため、さま/\と評議(へうぎ)せしに彼(かの)菊之丞(きくのぜう)、近日(きんじつ)船遊(ふなあそび)に出(いづ)るとの事(こと)ゆゑ、水中(すゐちう)は汝(なんぢ)が領分(りやうぶん)なれば、急(いそ)ぎ召捕(めしとり)来(きた)るべしとありければ、龍王(りうわう)は恐入(おそれいり)、勅定(ちよくぢやう)の趣(おもむき)いたい畏(かしこま)り奉(たてまつ)る。私(わたくし)支配(しはい)の者(もの)どもにて、鰐(わに)、鯋魚(ふか)を初(はじめ)として、水虎(かはたらう)、 水獺(かはをそ)、海坊主(うみばうず)なんど、人(ひと)を取(とる)こと妙(めう)を得(え)て候(さむら)へば