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根南志具佐ねなしぐさ

原文(二之巻)

根南志具佐 二之巻01

根奈志具佐ねなしぐさ二之巻にのまき

そも/\狂言きやうげん濫觴らんしやうたづぬるに、地神ぢじん五代ごだいはじめ天照あまてらす太神おほんがみこのもとおさめ給ふに、おんおとゝ素戔嗚尊すさのをのみことおん性質うまれつきはなはだきやんにてましませば、何事なにごと麻布あざぶにて様々さま/\どうらくをなし給ふ。太神おほんがみこれうれひ給ひて、あのとほり安本丹あんぽんたんにては行末ゆくすゑこゝろもとなしとて、色々いろ/\御異見ごゐけんありけれども、ひさしいもんじや、ソリヤないぴいなどとて請付うけつけ給はず。のちにはいろ/\のわるあがきちやうじければ、太神おほんがみいかりまして天石窟あまのいはやりまして磐戸いはととぢこもり給ふゆゑに、 六合くにうち常闇とこやみにして昼夜ちうや