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根南志具佐ねなしぐさ

原文(二之巻)

根南志具佐 二之巻08

たしといへるを、かたはらひときゝて、何故なにゆゑ松魚かつをになりたきやといへば、松魚かつをは、うまきものなればなりといへるにおなじ。松魚もふてこそあぢあるべけれ、われ松魚かつをになりてひとくはれては、われはうまくはあるまじ。狂言きやうげん役者やくしやにさせてるはよし、みづからこれをするとも面白おもしろくはあるまじきことなれども、たのしみはまた其中そのうち有馬筆ありまふで人形にんぎやうまわしや狂言きやうげんにてくら貴人きにんこゝろたのしみとするところのひれつなることは、 我心わがこゝろとふしるべし。曽子そうしあめを見ておひやしなはんことを思ひ、盗跖とうせきこれぢやうをあけん

ことをおもふ。下戸げこはぎてぼたもちおもひ、なしは浅漬あさづけ山葵わさびおろしおもふこと、みなひと/\の好所すくところじやううつるゆゑなり。すきこそもの上手じやうづなりとて、親好おやすき孝行かう/\あげしやうすき忠臣ちうしんのこす。是等これらすきつむことをいとはず。其余そのよことは、 すきなりとてこゝろをゆるすときがいをなすことすくなからず。しよくたいやしなものにして、すぐときめいをそこなひ、さけうれひをはらふといへども、内損ないそんうれひは、のまぬさきうれひにまされり。火事くわじがこわひとて一日いちにちたかずしては、逗留とうりう