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根南志具佐ねなしぐさ

原文(二之巻)

根南志具佐 二之巻05

約束やくそく刻限こくげんなりければ、木戸口きどぐちはどや/\、もや/\、きりたつるのもなく、まこと天地開闢てんちかいびやく以来いらいかゝる大仕組おほしくみはあるまいと、るもらぬも、おひたるもわかきも我一われいちとの人群衆ひとぐんしゆ式三番しきさんばおはり、おさだまり口上こうじやう相済あいすみければ、これより天浮橋あまのうきはし瓊矛さかほこ日記につき一番目いちばんめより段々だん/\狂言きやうげんがいり、ほどなく第三番目だいさんばんめいたつ天児屋命あまのこやねのみこと磤馭慮丸おのころまる本名ほんみやう伊弉諾尊いざなぎのみことやく天鈿女命あまのうずめのみこと傾城けいせい浮橋うきはし本名ほんみやう伊弉冊尊いざなみのみこと、つもり/\し揚代あげだい三百両さんびやくりやうかねかはりに、天瓊矛あまのさかほこ揚屋あげやかたへとられしを、太玉命ふとだまのみこと

大戸之道尊おほとのぢのみことやくにて、両人りやうにん瓊矛さかほこ詮議せんぎし給ふ検使けんしやく此所このところにて検使けんしのつよさ、両人りやうにんうれいところ諸見物しよけんぶつかん堪兼たへかね、イヨおらが鈿女うずめのよ、 イヨ児屋様こやねさま太玉様ふとだまさまなど、桟敷さじきしたこゑ/\にしばらくなりもしづまらず。此時このとき天照あまてらす太神おほんがみきゝめして、下地したぢすきなり、たまられず御手おんてもつ磐戸いはと細目ほそめあけこれみそなはす。おりよしと三人みたりみこと立寄たちより岩戸いはとあけんとをかけ給へば、太神おほんがみはたてんとし給ふ。たがひにえいやと引力ひくちから勝負しやうぶさらつかざりけりときに、むかふ切幕きりまくより、しばらく/\とかけ