風流志道軒伝 巻之五
抑々不二権現と申[し]奉るは、駿州有度の郡に鎮座まします、祭ところ大山祇命の女、木花開耶媛にて、是を浅間の社と申[し]奉る。されば神の㚑妙はかるべからず、異国より不二山をはりぬきの用意ある事、忽しろしめされければ、我守護の名山を唐土へ写されては日本の恥なりとて、愛鷹の明神に御内談まし/\て、曾我兄弟の神を早使にて伊勢八幡の両社へ御注進ありければ、即時に諸国へ触をまはし、則[ち]不二山の絶頂へ八百万の神々、神ンつ
原文(巻之五)
抑々不二権現と申[し]奉るは、駿州有度の郡に鎮座まします、祭ところ大山祇命の女、木花開耶媛にて、是を浅間の社と申[し]奉る。されば神の㚑妙はかるべからず、異国より不二山をはりぬきの用意ある事、忽しろしめされければ、我守護の名山を唐土へ写されては日本の恥なりとて、愛鷹の明神に御内談まし/\て、曾我兄弟の神を早使にて伊勢八幡の両社へ御注進ありければ、即時に諸国へ触をまはし、則[ち]不二山の絶頂へ八百万の神々、神ンつ