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風流志道軒伝(ふうりゅうしどうけんでん)

原文(巻之五)

風流志道軒伝 巻之五 14

▼開

なりしを浅草の観音、木の松茸と変(へん)じ給ひ、汝が身替[り]に立[ち]給へり。此御恩を報(ほう)ぜんため、是よりはやく国に帰り、道に志[す]と云[ふ]文字取[つ]て志道軒と名を改め、浅草の地内において、をどけ咄に人を集め浮世の穴をいひ尽して随分人を戒(いましむ)べし。汝が咄を聞[く]内にも女あれば人の気浮[か]れ、坊主は慢心(まんしん)あるものなれば、坊主と女の毒を云[ひ]て暫時(ざんじ)の内に追[ひ]まくるべし。イザかく来[た]れよとて飛[び]去[る]を藜(あかざ)の杖(つゑ)をとらへて仙人に随ひ行[く]ぞと見えしが、浅草の地内にて葦簀(よしず)かこひし床(ゆか)の上に茫然(ぼうぜん)として座し

居ければ、参[り]の老若(らうにやく)立[ち]つどひ、床几(しやうぎ)に腰(こし)を打[ち]かくれば、彼松茸にて机(つくえ)をたゝき、トン/\/\/\、トトントン/\、とんだ咄の始り/\。

風流志道軒伝 巻之五 大尾