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風流志道軒伝ふうりゅうしどうけんでん

原文(巻之二)

風流志道軒伝 巻之二 01

風流志道軒伝 巻之二

浅之進は光明院に有[り]てつく/\思ひめぐらすに、彼風来仙人がおしへの詞、一として理にあたらざる事なく、其上しばらく寺に居て諸宗の風儀をこゝろむるに、何れの出家も表をかざり錦繍きんしやうを身にまとひ、人もなげに高座に登[り]、口にとくところは衆生しゆぜうみちびき往生の素懐そくわいをとげしめんと、極楽の店請たなうけにも立[つ]やうにときちらせば、愚痴ぐち文盲もんもうの同行どもは、わた持の如来様と信仰し金銀財宝ざいほうをなげ打[て]ば、御殊勝しゆしやうにとばかりにて、忝[し]ともいはねども、心の内にはゑみ