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風流志道軒伝ふうりゅうしどうけんでん

原文(巻之二)

風流志道軒伝 巻之二 12

手ばかりの心やりなり。一年の内には千変せんへん万化ばんくわの世渡りも、つまる所は金と云ふ一字に帰し、人欲じんよくの私に使[は]るゝ故なりと、浅之進羽扇をなぐれば、有し駿河台の庵の内に焚懸たきかけし飯のいまだじゆくせざる内なりければ、ます/\羽扇うせんの妙を感じ、彼風来仙人のをしへにまかせ、是より日本はいふに及ず唐天竺より諸の外国までを廻り見んとぞ思ひ立[ち]けり。

風流志道軒伝 巻之二終