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風流志道軒伝(ふうりゅうしどうけんでん)

原文(巻之一)

風流志道軒伝 巻之一 13

▼開

第一とすれば、諸国の色里なんどをも遊行すべし。諸国を経る内には、面白[き]事、かなしき事、幾度も有べけれども、必[ず]/\苦(くるし)とばし思ふべからず。汝が修行(しゆぎやう)成就(じやうじゆ)して再(ふたゝび)此土へ帰[り]し時、また対面をなすべし。さらば/\といふ聲は障子に残(のこる)風の音、浅之進は忙然(ぼうぜん)と光明院の窓(まど)の内に寝るともなく覚(さむる)ともなく、机にかゝりてもとのごとく坐し居たるに、側(かたへ)を見れば、彼の夢中に授(さづかり)し羽扇ばかりぞ残[り]ける。

風流志道軒伝 巻之一終