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根南志具佐(ねなしぐさ)

原文(三之巻)

根南志具佐 三之巻12

▼開

の半(なかば)にて河豚(ふぐ)を喰(く)ふ時(とき)ならざれば、此(この)御評議(ごへうぎ)御無用(ごむよう)ならんと申上(まをしあぐ)れば、龍王(りうわう)もせんかたなく、無用(むよう)の長(なが)詮議(せんぎ)に時(とき)うつるとも、所詮(しよせん)埒(らち)は明(あく)まじければ、此上(このうへ)は、この龍王(りうわう)一人(いちにん)自身(じしん)立向(たちむか)ひ、 雲(くも)を起(おこ)し雨(あめ)を降(ふら)し、菊之丞(きくのぜう)を引抓(ひつつかん)で閻广王(ゑんまわう)へ奉(たてまつら)んと、波(なみ)を蹴立(けたて)て立(たち)給ふ。一座(いちざ)の鱗(うろくず)前後(ぜんご)をかこひ、鶏(にはとり)をさくに何(なん)で牛(うし)の刀(かたな)を用(もちい)なん、 今一(いまひと)御評議(ごへうぎ)と留(とめ)ても留(とま)らず。前後(ぜんご)左右(さいう)を蹴飛(けとば)し、 黒雲(くろくも)を起(おこ)し出(いで)給ふ処(ところ)に、御門(ごもん)に扣(ひか)へたるものつゝと出(いで)、御腰(おこし)をむづとだく。ふりほどかんとし給へども、中々(なか/\)容易(たやすく)動得(うごきえ)ず、御所(ごしよ)の五郎丸(ごらうまる)にては

よもあらじ。何者(なにもの)なるぞ爰(こゝ)をはなせとふりむき給へば、天窓(あたま)に皿(さら)を戴(いたゞき)たる水虎(かつぱ)にてぞ有(あり)ける。 龍王(りうわう)は御聲(おんこゑ)高(たか)く、己(おのれ)下郎(げらう)の分(ぶん)として推参(すゐさん)至極(しごく)と、御手(おんて)をふり上ヶ(あげ)打(うた)んとし給ふ処(ところ)を大勢(おほぜい)の鱗(うろくず)ども左右(さいう)の御手(おんて)にすがり付(つき)、御とゞめ申(まを)せしは、 水虎(かつぱ)が君(きみ)への忠義(ちうぎ)なれば、 悪(あし)くばし聞(きこ)し召(めさ)れそ、先々(まづ/\)御座(ぎよざ)に御直(おんなを)りと無理(むり)に引立(ひつたて)、もとのごとく御座(ぎよざ)になをせば、龍王(りうわう)猶(なほ)も怒(いか)り給ふを、水虎(かつぱ)御前(ごぜん)ににじり寄(より)、天窓(あたま)の水(みづ)もこぼるゝばかり涙(なみだ)をはら/\とながし、下郎(げらう)の身(み)をかへり見(み)ず無礼(ぶれい)せしも、寸志(すんし)