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根南志具佐(ねなしぐさ)

原文(三之巻)

根南志具佐 三之巻08

▼開

辺(へん)なるべければ、私共(わたくしども)力(ちから)におよびがたし。虎(とら)の勢(いきおひ)強(つよし)といへども鼠(ねずみ)を捕事(とること)猫(ねこ)におとるの道理(だうり)、譬(たとへ)ば最上(さいじやう)の智者(ちしや)たりとも、つかひ処(どころ)悪(あし)き時(とき)は却(かへり)で其智(そのち)の出(いで)ざるがごとし。是(これ)は余人(よじん)に仰付(おふせつけ)られしかるべしと申上(まをしあぐ)れば、龍王(りうわう)、暫(しばらく)御思案(ごしあん)あり、然(しから)ば海坊主(うみばうず)に申付(まをしつく)べしとて召出(めしいだ)されければ、油揚(あぶらあげ)にて真黒(まつくろ)にふとりたるが、 白帷子(しろかたびら)に紋呂(もんろ)の衣(ころも)、五条(ごでう)の袈裟(けさ)をかけ、珊瑚(さんご)の数珠(じゆず)をいと殊勝(しゆしやう)げにつまぐり、罷出(まかりいで)て申けるは、私儀(わたくしぎ)仏弟子(ぶつでし)となり、身(み)には三衣(さんえ)を着(ちやく)し、口(くち)に仏名(ぶつみやう)を唱(とな)へて、厭離(ゑんり)穢土(ゑど)懇求(ごんぐ)浄土(じやうど)、此界(このかい)の衆(しゆ)

生(じやう)どもは、火宅(かたく)にあらぬ水宅(すゐたく)をのがれて南無網(なむあみ)の目(め)にすくいとられ、往生(わうじやう)の素懐(そくわい)をとげる様(やう)にと導(みちびく)こそ出家(しゆつけ)の役目(やくめ)なれ。かゝる事(こと)など勤(つとむ)べき身(み)にしもあらねども、近年(きんねん)は私(わたくし)にかぎらず諸宗(しよしう)とも皆々(みな/\)風俗(ふうぞく)悪(わる)くなり、出家(しゆつけ)の身持(みもち)に有(ある)まじき栄耀(ゑえう)栄華 (えいぐわ)に暮(くら)す故(ゆゑ)、中々(なか/\)定(さだま)りの布施(ふせ)もつにては、遊女(ゆうぢよ)狂(くる)ひ、お花(はな)の元手(もとで)、重箱(ぢうばこ)で取寄(とりよせ)る肴代(さかなだい)に不足(ふそく)なれば、葬礼(とむらい)をかき入(いれ)石塔(せきたう)を質(しち)に置(おき)ても思(おも)ふ様(やう)にまはらざれば、もの云(いは)ぬ仏(ほとけ)をだしに遣(つか)ふて、愚痴(ぐち)無智(むち)の姥(うば)かゝをたらしこみ、こうすれば仏(ふとけ)に