①
三ますやうろこがたや両人はいづの国
以来今もつてとなりといひことに
よりとも公へ心をはこびし事等
ひとかたならぬこん意にて朝夕
出あひて酒ゑんをなしうちくつ
ろきてをくそこなくつきあい
けれとも内心にては北條の
姫君病きしそんありしは
ひとへに切もぐさの徳
にてわかこうばつくん
なればなか/\
孫兵衛が及
ぶ所にあら
ぬをわが手
がらのやうに
せけんへ
いひふら
す事
はな
はだ
きつ
くわい
なりと
おもひ
けり
又
②
孫兵衛は
ひめ君の
きうをす
ゑとげし事
わがゑぞうし
を御らんありし
ゆへなれは
ひとへにゑ
ぞうしの徳
にして
平右衛門が
こうにあら
ぬを平右衛門
われ一人の
手がらの
やうにいひ
ふらす事
ごんごどうだんの
次第也と内心に思ひ
けるゆへにや両人酒
ゑんの上にてまどろ
みけるうちゆめにせう
ばいものゝせいれいあら
はれいくさ評定する
③
もぐ
さのせい
れいあら
われいくさ
ひやう
定する
④
輟耕録の十三科にもすでに
鍼灸科あり艾の
功能もつとも
大にして
よく
やまひをのぞく
いづれの書にもゑぞうし
を見て病ひを治すといふ
事はなしそれになんぞ
うろこかたやがおのれがてから
などゝいひふらす事きつ
くわいしごく也此おりをのか
さずゑぞうし
のぢんにをし
よせひともみに
もみつふさん
⑤
ゑぞうし
のせい
れい
いくさの
評ぎ
⑥
とにかくそのぶんには
すまされぬ一ト
いくさなく
てかなふ
まじ
惣して百人が百人若い
女中にきうのずき
なとしばいのきらひなはない
ものそのきうをたいくつなく
すへられたはこれたがこうであ
ろう四角な文字の本とちがひ
ゑぞうしときてはさじきへも
きりおとしへもむかず
といふ事なし
醫は意也と
いへばこちのおや
かたのりやうじが
すなはちきどり
のばで三ますや
ごときの及ぶ所にあらず
Ⓐ
薫臍(くんさい)
Ⓑ
千梃入
Ⓒ
切艾
Ⓓ
古状
Ⓔ
正本
Ⓕ
青本
Ⓖ
黒本