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三升増鱗祖みますますうろこのはじめ

18

三升増鱗祖 18

三ますやうろこがたや両人はいづの国
以来今もつてとなりといひことに
よりとも公へ心をはこびし事等
ひとかたならぬこん意にて朝夕
出あひて酒ゑんをなしうちくつ
ろきてをくそこなくつきあい
けれとも内心にては北條の
姫君病きしそんありしは
ひとへに切もぐさの徳
にてわかこうばつくん
なればなか/\
孫兵衛が及
ぶ所にあら
ぬをわが手
がらのやうに
せけんへ
いひふら
す事
はな
はだ
きつ
くわい
なりと
おもひ
けり

孫兵衛は
ひめ君の
きうをす
ゑとげし事
わがゑぞうし
を御らんありし
ゆへなれは
ひとへにゑ
ぞうしの徳
にして
平右衛門が
こうにあら
ぬを平右衛門
われ一人の
手がらの
やうにいひ
ふらす事
ごんごどうだんの
次第也と内心に思ひ
けるゆへにや両人酒
ゑんの上にてまどろ
みけるうちゆめにせう
ばいものゝせいれいあら
はれいくさ評定する

もぐ
さのせい
れいあら
われいくさ
ひやう
定する

輟耕録てつこうろくの十三くわにもすでに
鍼灸科しんきうくわあり艾の
功能もつとも
大にして
よく
やまひをのぞく
いづれの書にもゑぞうし
を見て病ひを治すといふ
事はなしそれになんぞ
うろこかたやがおのれがてから
などゝいひふらす事きつ
くわいしごく也此おりをのか
さずゑぞうし
のぢんにをし
よせひともみに
もみつふさん

ゑぞうし
のせい
れい
いくさの
評ぎ

とにかくそのぶんには
すまされぬ一ト
いくさなく
てかなふ
まじ
惣して百人が百人若い
女中にきうのずき
なとしばいのきらひなはない
ものそのきうをたいくつなく
すへられたはこれたがこうであ
ろう四角な文字の本とちがひ
ゑぞうしときてはさじきへも
きりおとしへもむかず
といふ事なし
醫は也と
いへばこちのおや
かたのりやうじが
すなはちきどり
のばで三ますや
ごときの及ぶ所にあらず

薫臍(くんさい)

千梃入

切艾

古状

正本

青本

黒本