政子姫は頼朝に一目惚れしてのぼせ上ってしまい、朝夕のお食事も進まず、ぐずぐずと臥せっていた。
時政は心配で気が気でない。
お抱え医者のくだす流庵は、お灸での治療を勧める。
流庵「これは、灸をたくさん据えるのがようござります。」
新五左衛門「明日から、好きなだけお灸を据えなされ。」
腰元せきや「ちと、気晴らしに絵草紙でもご覧あそばしませ。」
流庵「珍しい絵草紙などをご覧になり、お気をまぎらすのもようござります。例の山内屋を呼んでみてはどうでしょう。」
画工 恋川春町 戯作[春町 印]