①
もぐさやのむすこ
よりともなる事を
時政かねてしりたる
事なれば政子と
しうげんをとゝ
のへ悦びけり扨
政子姫の病氣早速
本ふくありしは永持道意が
もぐさを三升すへられし
ゆへなればもぐさやには
三ますを家の紋所に
せよとて給りけり
ならびにたいら氏
の平の字をほうび
としてとらせける
扨又三升の
きうをたい
くつなくすへ
られしも山内
や孫兵衛か草双帋をかつ/\
見給ひしゆへなれば孫兵衛
は道意に同やうの功也とて
孫兵衛には
江のしま
の弁才天ゟ
給はりし三ッ
うろこの紋所
をほうひとして
くれられ長く定紋
にせよとぞ申渡されける
②
身ふせうの
わたくし共へ
うろこがたの
御紋所平の
字を給はる
事身にあ
まりまして
有かたふ
存
ます
Ⓐ
画工 戀川春町 戯作[春町 印]