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三升増鱗祖みますますうろこのはじめ

14

三升増鱗祖 14

もぐさやのむすこ
よりともなる事を
時政かねてしりたる
事なれば政子と
しうげんをとゝ
のへ悦びけり扨
政子姫の病氣早速
本ふくありしは永持道意が
もぐさを三升すへられし
ゆへなればもぐさやには
三ますを家の紋所に
せよとて給りけり
ならびにたいら氏
の平の字をほうび
としてとらせける
扨又三升の
きうをたい
くつなくすへ
られしも山内
や孫兵衛か草双帋をかつ/\
見給ひしゆへなれば孫兵衛
は道意に同やうの功也とて
孫兵衛には
江のしま
の弁才天ゟ
給はりし三ッ
うろこの紋所
をほうひとして
くれられ長く定紋
にせよとぞ申渡されける

身ふせうの
わたくし共へ
うろこがたの
御紋所平の
字を給はる
事身にあ
まりまして
有かたふ

ます

画工 戀川春町 戯作[春町 印]