お江戸のベストセラー

三升増鱗祖みますますうろこのはじめ

12

三升増鱗祖 12

※底本では、右ページの頼朝の絵が削除されていましたが、鱗形屋版を使って補完してあります。

こしもとせきや人
なき折りをうかゞひ
もくさやのむすこを
御居間へつれ来り
ひめ君に
あわせ申しその身は
きを通して
そのばをはづし
御つぎへゆく

わしが病
氣はそな
たをこひ
こがれての
事きう
を三ます
もすへ
たもそ
なたへ
のしん
ぢうと
おもふば
かりそな
たの心が
つれなければ
いくらきう
をすへたとて
こひわつらひが
なをろうか
おこゝろざしは有
がたふござりますれ
どもときまさゝまへ
きこへましては
お身のおために
なりますまい
こゝおは
なし
被成
ませ

北條時まさやうす
をたちきゝ
たとへの通りにむす
めと小ぶくろにはゆ
だんもすきもなるもの
ではないしかしきやつは
源氏の正とうよし
ともが三なんよりとも
ときゝ及べばむこに
とつてもふそくはない