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三升増鱗祖みますますうろこのはじめ

4

三升増鱗祖 04

かくて道意はより
朝をともなひいづ
の国につきしかば
いけすいなりのかた
わらにすみてもと
よりなれしもぐ
させうばいをし
けるにそのころ東
国に切
もぐさ
といふ物
なかりければ
てうほうなる物
なりとてことの
外はやり大小
めうゟおびたゝし
く御用仰付られ
あきないはん
じやうしける
かわらけ二ツ
を合せつゝ
百てう入りを
ぞこしらへける
これきり
もぐさの
はじめと
かや

より
とも公
その比は
若しゆさか
りにてうつ
くしければ
しよ人たちとま
りて故人盛府に
そのまゝなりといひ
ふらしけるより道意
おもひつきにてもぐさの
はんこうを市松
ぞめにぞ
したりける

ずいぶん御せい出されませ
外へてまによりを出すゟも
内でいたせば大ぶんわりが
よふこさります
それがすむと小児を仕入ねば
なりませぬ

そのころもぐさやがをちつきしとなりに
山内や孫兵衛といふもの有これもゆへある
ものなりしがたび/\の兵らんにをち
ぶれ伊豆の国へ引こみいけるがもと
より才智あるものなりければ

いにしえ今の
事をかきつゞり
双紙となし又は
むかしの名将
ゆうしのすがた
を紙にすりさい
しきをなして
あきなひけれは
ことの外はやり
ける其ころは
しよ人此ゑを
うるしゑと
いひてうれし
がりうれること
かぎりなし

此おもひ
つきは
ばつと
をちが
きそうな
もの
じや

となりは
大ぶん
あきないが
ある
まけては
ならぬが

回陽堂

山内屋