①
むかし近
江国伊吹山
のふもとに
永持道意と
いふものあり
もとは藤原氏
のれき/\なり
しが保元の乱
をさけて此所に
引こみいぶき山の
よもぎを
とりせい
ほうして
もぐさ
をこし
らへ世の
いと
なみ
とて
なし
け
る
②
あるとき道意はもぐさのせい
ほうにつかれまどろみけるにふしぎのれいむあり
ぜんさい/\われはこれいづの国山内やといふ
ものゝ地にすむ池すいなり也われむかしの
ちなみありてなんぢにさいわい告るなり
こよひよしともの三男よりとも此所に来る
べしかれはゆく/\天下をしやうあくして
四かい太平になすべきくわんじんたいど(寛仁大度)のさう
ありなんぢかげ身をはなれずもりたて
なばゆくすへとみさかゆべし
此事をつげんために来たりゆめ/\
うたがふことなかれ
Ⓐ
正製
薬もくさ
道意