お江戸のベストセラー

人間一生胸算用にんげんいっしょうむなざんよう

16

人間一生胸算用 16

かくて無名や無次郎は、いよ/\
大極上々吉の人間となり
ほつとためいきをつくひやうしに
京伝をはきだしければ
京伝は出るよりはやく
ふでおつとり
右のしゞう
三さつのさうしに
つゞりける
「京伝は、はき
出されて
みた所が
無次郎が
ふうぞく
むかしに
かわり
はんつうの
なりかたち
ゆへ、いよ/\
きめうがる
「口から
ごくわうが
さすと
いゝつこ
なし

「ヲヤ
おめへは
おれがはらの
中にいたか、これは/\
しらなんだ
おめへははらの
中にゐてしるめへが
おれも大かぶりに
かぶつての
此ごろめがさめたよ

「コレ無次郎
きさま
めで/\と
いはつし
おれが、たし/\と
いふから
めでたし/\と
いわねへと
くさそうしの
しまひは
きにかゝる

京伝戯作
自画