〈気〉は、みんなにそそのかされ、いよいよ気がヘンになり、女郎屋で太っ腹にはしゃぎまくる。みなも浮かれまくって、耳にもいい思いをさせてやろうと呼びにやった。
口は、吉原の人気菓子店・竹村から上あん(あんころ餅)を取り寄せ、しこたま食らう。
目は、廊下をウロウロして女たちのふくらはぎの白さにやられる。
鼻は、匂い袋の香りにうつつをぬかす。
「『開いた口に餅』とは、まさにこのことさ。おいらは、遠慮なく食べちょろの帯とシャレやす。」
たいこ持ち
「おまえさまは、上あんばっかり召し上がりますね。上あんばっかり五十六は、どうでござります。」
「ああ、どの娘を見ても色っぽい。」
耳は、芸者に何度も何度も三味線を弾かせて妙音を楽しむ。
〈気〉は有頂天に吊るし上がって、ますます調子こく。
「ちっと、かんざしを貸しな。よく耳のアカをとってから聞こう。コレ、気をつけろ! 誰がおれの耳へ湯をかけた。『寝耳に水』とちがって『起き耳に湯』はかんべんだ。」
♪わたしゃおしどり、よいわいな
そうじゃ、そうじゃ、そうじゃ
♪その気でなければ話されぬ
ツンツ テレテットン