①
さて、みな/\おばを
だまくらのごん五郎にして
よほどの金子を
かりてかへり、よし
はらのうけをはらひ
又あそばんとよろ
こび、そのよはみな/\
やすみけるに、あしは
おばの所で久しくしりの
下にしかれゐたれば
大きにくたびれて
ねそびれたるあまり
つら/\思ひ、みんな
しやれる中におれひとり
おとなしくして
ゐるも大きなこけと
しあんをきわめ
ふと、あくがきざして
そのよ、ひそかにかの
かねをはんぶんぬすみ出し
江戸げいしやに
かみを引つれ、とうし
かごにて江のしま
かまくらとでかけ
わがものでないと思ひ
おゝくの金をやたら
みつちやにおごつて
しまふ
なるほど、あしの
おごりはとうし
かごくらひの
ところなるべし
②
「かごにのりつめも
たいぎなものだ
ちつとあるいて
やすまふ
「てめへたちは
くたびれは
せぬか
その
かわり
いきた
かつほを
くわ
せるぞ
③
「だんな
もし
ゑのしまは
ゑびすやに
なされ
まし
④
そのあとのはんぶんの
かねは、そのよまた
手がぬすみ出し
あしめはよい事を
しおつた、いでや
われもちと
たのしみうけんと
なぐさみに
かゝり、大に
まけこけて
やけをおこし
大げんくわを
はじめて
あいての
あたまを
にぎり
こぶしで
うち
きづを
つけ
ければ
大さ
はぎと
なる
「口をつれて
こぬから
手はたゞ
だんまりで
たゝきあふ
⑤
「これ/\のどがつまる、マアはなしてくれ、まわたで
くびをしめるとは、きいたが
わりやァ、はだかで
くびをしめるな
⑥
「かたなは、ぶしの
たましゐ、でばぼう
てうはきをひの
たましゐだ、
かくごう
しやァがれ