①
気は大ぜいに、たてこかさられ
むしやうに気が大きくなり
あるひ口を神につれて
むかふじま、むさしやへ来り
やみとおごりかける、口は
うまれてからはじめて
こんなうまひものを
くひ、さけもへしと
くらつて大に
ゑい、きは
だん/\
ちがつて
きて、さゝの
はを
かつひで
おどる
さけを
きちがひ
水と
いふ事
此いはれか
②
「気はみぶきやうげんに
きつねの付たやうな
手つきをして
おど
れば
口は
こけが心学を
ならふやうに
ちやわんをたゝひてはやす
③
「あらひこいも
だし
ましやうか
④
「何から
くはふか
小娘が
ごふく
やへ
いつた
やふに
いつそ
目うつりが
する
⑤
それより、きはいよ/\
きがそれ、めにもうつくしひ
ものをみせ、はなにも
かけがうのあだな
にほひをかゞせんと
よびにやり、中ノ丁の
夕けしきをみせければ
目口はな三人よつて
ぼんぶのちゑを出し
きをすゝめて、中で
いつちうつくしひと
おぼしきおいらんを
しまひにやる
「口はよだれを
たらして
みている
「はながいふ
アヽいゝ
にほひだ
百介が所の
くこをつけた
そふだ
「ちつと小きくで
はなをかんでかぐべい
今までは
ちりがみで外
かまなんだ
⑥
目は正月を
三度いちどきに
するきどり
にて、目の
さやを
はづして
ながめてゐる